日本山岳会福島支部のブログ

日本山岳会福島支部の活動を掲載する

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イエローフォールをバックに。今年は氷瀑が小さい

2024年2月11日、2月初めての支部山行として磐梯山北側爆裂火口の一角に毎年現れる琥珀色の氷瀑、イエローフォール、を有志6名で訪ねた。
当日は晴れ間はあったものの曇りベースのお天気。1888年の磐梯山大噴火に伴う岩石雪崩の通った跡を自然利用した裏磐梯スキー場のリフトを2つ乗り継いでまずはスキー場の頂上部へ。
ここでトレッキングに必要な装備を整えて出発に備える。
今年はどの山もそうであるように暖冬の影響で全く雪が少ない。例年の3分の1の量にも満たない。いつもなら夏道以外の樹林地帯を縦横無尽に通過できるのだが今年はそういうわけにはゆかない。ブッシュを避け忠実に夏道を辿り進む。

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リフト頂上部の「磐梯山と岩雪崩」の説明版の前で記念撮影

スノーシューを装着して出発。ここからまず火口のくぼ地にある銅沼(あかぬま)に向かう。約15分の道のりである。冬の樹林帯は明るい。右手に凍った沼地帯を確認し進む。やがて銅沼に近づくと一気に前方が開けてきた。ここは標高1,100m地帯、沼面は白一色である。ただ暖冬のせいか所どころ水面が見える。正面には、大噴火で400m崩れ落ちた山体崩壊の絶壁が立ちはだかっている。正面のひときわ大きな岩が天狗岩である。当時の水蒸気爆発の脅威がひしひしと迫ってくる。

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銅沼の氷の上で

ここからは夏道とはお別れである。銅沼の上を歩いて進む。足元の氷に気を付けながら爆裂火口稜線鞍部の麓を目指しイエローフォールに向かう。

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沼上を進む。左のピークは櫛ヶ峰(1,636m)

沼上の歩行は10分程度で終わるが畔にはハンノキが多く樹生している。ハンノキは火山性土壌に強いらしい。枝先には小さい松ぼっくりみたいな実が沢山着いていてとても可愛い。
磐梯山はまだ生きている。右手斜面からは今でも激しく噴気が出ている。噴気孔の穴は以前より増えているという。近くの吾妻山も噴気孔があちらこちらに増えていて不気味な気さえする。銅沼の水の成分は極酸性で生物は住めず水が服に付くとボロボロになる程度である。夏に見ると沼の石も赤茶けているが酸化鉄が岩に付き褐色になっている。
沼を通り過ぎ巨大な岩石帯を越え小高い流れ山の上に上がると櫛ヶ峰が大きさを増してきた。

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ハンノキの実
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櫛ヶ峰が大きさを増し迫ってきた。北岳バットレスのようだ

ここから岩石帯をいったん下り、さらに樹林帯を越えてゆくといよいよイエローフォールとのご対面となる。遠目からは小さく見落としがちだが、近ずくにつれて大きさを増してくる。

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イエローフォールが遠望できる

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イエローフォール全貌

今年のイエローフォールはかなり小さい。通常は両脇いっぱいにオレンジ琥珀色の氷瀑が現れるのだが、2023年の猛暑と渇水により地下水の量が極端に減少しイエローフォールも例年の半分程度の規模になってしまったようだ。県内の他の山も例外ではなく特に飯豊連峰では水場が涸れ多くの山小屋にも影響が出ていた。
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氷瀑の前で記念撮影
<参加者> 
左から高麗秋広、佐久間隆夫、江花俊和、幕田芳典、佐藤一夫、清野義美、各氏6名
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珍しいブルーフォールをバックに

イエローフォールのすぐ隣りには青く光る氷を纏ったブルーフォールがある。こんな近くにまったく成分の違う滝があるのは非常に珍しいとの事。見落とさないようにしよう。

イエローフォール、ブルーフォールを後に、帰りは磐梯山東側からスキー場に戻るルートを行く。
ちょうどこのころから天気が回復し磐梯山への稜線をはっきりと確認できるようになった。言われるごとく櫛ヶ峰は北岳バットレスのように大迫力で迫ってくる。素晴らしい景色だ。

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櫛ヶ峰の雄姿 残念ながら磐梯山は見えなかった

          写真 ・ 文  佐久間隆夫




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令和6年新年会 5年ぶりに岳友が会して酒を飲み交わした

2024年2月3日コロナウィルス感染拡大もあり2019年より実に5年ぶりの新年会の開催となった。場所は福島市福島駅東口のザ・ホテル大亀。
今回は山の大先輩の方々から昨年入会された30代の幾世橋、氏家両氏も参加していただき老若男女一同会しての楽しい新年会となった。また二次会も元会員の阿部氏のお店「無番荘」で大半の方が参加され、懐かしい山談義、カラオケと大いに盛り上がった。
翌日は、希望者を募り飯館の山津見神社のおひざ元の虎捕山(705m)登山を挙行した。

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新年会ではまず、渡部展雄支部長より挨拶をいただき、その中で1月1日の能登半島沖大地震と1月2日の日本航空機と保安庁機の衝突に触れられ、亡くなられた方への哀悼の意とお見舞いを述べられた。またこの5年の間にはJAC福島支部でも大切な仲間との別れ(小滝清次郎、芳賀甚一、菊池道彦、鈴木章一、遠藤光義 各氏)もありご冥福をお祈りした。

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齋藤松雄様の高らかな乾杯にて開宴となる。

美味しい料理を食べながら祝宴が始まり、今回大先輩を知らない若者たちも出席していることから順に自己紹介をしていただくことにした。それはそれは楽しいお話が満載てんこ盛りの和やかなコミュニケーションの時間であった。
最後の締めは、今年88歳米寿を迎えられた伊藤義男さんに三本締めをお願いし、無事お開きとなった。
続いて会は二次会の阿部敬子さんの待つ「無番荘」へ。

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米寿を迎えられた伊藤義男さんとその前にママの阿部敬子さん
伊藤さんはしばらくの再会でご満悦の様子

新年会の翌日は、希望者を募っての交流登山を開催。飯舘村にある山津見神社のおひざ元の虎捕山登山を実施した。当日は風が冷たかったものの天気は良く久しぶりに全身を使う楽しい登山となった。
虎捕山は、飯館村と伊達市霊山町の境界に位置する山で、平安時代中期の後一条天皇の時代に陸奥守である源頼義が橘墨虎という悪賊をこの山で捕らえたことが虎捕山の名前の由来だと伝えられている。
頼義の命を受けて藤原景道が橘墨虎を討伐した際に、墨虎が潜んでいた場所(虎捕洞)を白狐が教えたと言う伝説、東京都奥多摩の御岳山近辺にも伝わる狼伝説とも繋がる興味深い言い伝えである。いずれも神社の守り神は狼であり狛犬も狼である。(狼は二ホンオオカミとも言われている)
虎捕山は、全体が花崗岩により形成されている山で頂上付近には岩にへばりつくように山津見神社本殿か祀られている。急峻な岩場に登山道がつけられており、小さいながらもスリル感満載のクライミング感あふれる山である。
登山の様子は写真と解説でお楽しみください。
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「虎捕山津見神社御本殿登拝口」ここから登山開始

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ここが手水舎、唯一の水場であるいよいよここから岩場となる

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虎捕洞入り口にある鳥居前で記念写真

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鳥居のすぐ上にある墨虎が潜んでいたという虎捕洞

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ハシゴと鎖を伝い三点支持で岩場を通過する。

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山津見神社本殿での記念写真。岩場にへばりつくように建つ

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本殿岩峰上からの眺め1 安達太良山

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本殿岩峰上からの眺め2 蔵王連峰

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本殿岩峰上からの眺め 遠くに朝日連峰

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虎捕山の山頂。樹が生い茂り眺望は無い。

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誰が描いたか虎捕山の標識!タイガーマスクみたい

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下山は、岩場、ハシゴ、ロープ、鎖のつらなりで緊張の連続

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急斜面は三点支持のクライムダウンで下降

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間もなく平坦地に着くぞー

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以上でした。










JACユースクラブの皆さんと記念写真
JACユースクラブのメンバーとばったり再開

2024年、新年明けましておめでとうございます。一方能登地方の方々におかれましては震度7の大地震と津波により亡くなられた方々に哀悼の意を表し、怪我をされ避難されておられる方々にはお見舞い申し上げなければなりません。東日本大震災では私たちも皆さんに助けていただき力をもらった立場です。できうる限りお力になれるようにしてゆきたいと考えております。
ところで、今年最初の支部山行として1月21日に阿武隈山系の低山五十人山(883m)を皮切りに活動開始することとなりましたが、五十人山は季節外れの大雨となってしまいやむなく中止。
続く1月28日の雪山登山は、当初安達太良山系箕輪山~鉄山縦走を計画したものの、ここも異常な雪不足で夏道以外は枝藪状態で本来の雪山歩きを楽しむ状況ではないため、少ないながらも雪のある吾妻山系の西大巓(1,982m)に山域を変更しての支部山行実施となった。
当初は西吾妻山(2,035m)まで行く計画であったが、視界、雪の状態も悪く、またゴンドラの下り最終が1時間早まったなどによる時間制限もあり西吾妻山行きは取りやめて西大巓のみの山行に切り替えての山行実施となった。

<行程>
グランデコスキー場ゴンドラ(8:30) → (8:50)ゴンドラ山頂駅
ゴンドラ山頂駅(9:20) → 1,843m台地通過(11:30) → 偽ピーク通過(12:05) → (12:30)西大巓 山頂到着  〈山頂樹氷の陰で昼食〉
西大巓出発(13:00)  →  1,843m台地通過(13:30)  →  第4リフト上(14:40)  →  (15:10)ゴンドラ山頂駅着

ゴンドラ山頂駅到着直前記念写真を撮ろうと私たちが準備していたところに思いがけない出会いが待っていた。JAC関東圏ユースクラブのメンバー4人とばったり遭遇。
私がカメラの設定にてこずっていたところにJAC旗を見つけていただいたことが出合いのきっかけであった。旗が繋いだ奇跡の遭遇だ。
リーダーの新井さんと名刺交換をし、千葉房総Baseでのお礼と今後の情報交換、支部交流を約束しまた
の再開を胸に秘め帰途に就いた。
以下山行中の写真を添付いたしますのでご覧ください。

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9:30  ゴンドラを降り装備を装着しいよいよ出発

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しばらくゲレンデの中を行く。トレースはあり歩きやすい。
晴れてきた、これは期待できるぞ!

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だいぶ上がってきたので小休止 暑い!

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第4リフト上駅付近、雲が出てきた。
もし晴れていればこの向こうに秀麗な磐梯山のピークが見えるはずなのだが

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先を急ぐ。ゲレンデ内進行もまもなく終わりだ。

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いよいよシラビソの樹林帯へと分け入ってゆく

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樹高も低くなりいよいよ雪山の雰囲気が出てきて一気にテンションが上がる。
樹氷は健在か、周りは見渡せるか。期待が高まる。

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トレースはしっかり踏み固められていて気持ちよく歩ける

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大人の雪遊び!みんな無邪気でカワイイー

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残念ながら視界無く雪も降りだしたが、元気いっぱい。
西大巓の標柱を前にみんなで記念撮影

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飯は食ったが寒いので早々に下山の準備。

当初、これより先40分の所に西吾妻山(2,035m)があり行く予定にしていたのだが、時間的に厳しいこと、視界と雪の状態もあまり良くないことから中止を決断し下山することとした。

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西大巓に笑顔で別れを また来るぜ!!

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上に同じ

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いつ見ても素晴らしい雪の樹林帯

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スキー場までまもなく!最後の一休み

JACユースクラブの皆さんと記念写真
JACユースクラブの皆さんお世話になりました。
また、福島の山に来てください。一緒に登りましょう。

文 佐久間隆夫
写真 大島省吾、佐久間隆夫、幕田芳典、東海林広尚







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